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第10回行政書士雑学講座

皆さんこんにちは!

久保田行政書士事務所、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~計画~

ということで、行政書士がファイナンシャルプランニングを業務に統合するための「計画の立て方」と「実務の進め方」を、段階ごとに深く解説します♪

 

法務とお金のプロが描く“信頼と成果を生む仕組み”

行政書士は、契約書作成、遺言・相続、許認可申請、法人設立など、個人と事業の人生設計に関わる専門職です。
そこに「ファイナンシャルプランニング(FP)」の視点を取り入れることで、書類作成にとどまらない“ライフ支援型サービス”として、他士業と差別化された価値を提供できます。

しかし、FP的な相談対応を取り入れるには、感覚や経験頼みではなく、明確な業務計画と工程設計が欠かせません。


✅ なぜ行政書士にFP的な業務工程が必要なのか?

行政書士業務にFPを組み込むと、以下のようなニーズに対応可能になります:

  • 「老後資金が不安」という相続相談に、資産活用プランを提示

  • 「事業承継が心配」という法人顧客に、資産分割・納税計画をアドバイス

  • 「親の後見人になったが、費用管理が難しい」といった悩みに生活設計で支援

これらは、単発の書類作成では完結せず、顧客との長期的な関係性と計画的な対応が必要になります。


✅ ファイナンシャルプランニング業務の工程(ステップ別)

行政書士がFP的なサービスを行う際は、以下のような6つのステップ工程に沿って対応すると、顧客との信頼性と業務効率が大きく向上します。


STEP 1:ヒアリングと課題の把握(ライフデータ収集)

まずは、相談者の「人生背景」「お金の状況」「今後の意向」を丁寧に聞き出します。

収集する主な情報

  • 家族構成(配偶者、子、扶養家族など)

  • 現在の収入と支出

  • 保有資産(不動産、金融資産、保険など)

  • 負債(住宅ローン、借入金など)

  • 公的年金・企業年金の情報

  • ライフイベント(教育費、退職、介護、死亡)想定

Point: Excelなどで「ライフデータシート」を用意しておくと効率的。初回相談時に記入してもらうのも効果的です。


STEP 2:目的とゴールの設定(相談の“軸”を明確化)

次に、相談の目的を明確にします。

目的の例

  • 相続対策をしたい(節税?争族回避?納税準備?)

  • 後見制度の導入を検討している(判断能力?費用?)

  • 離婚時の財産分与で納得できる根拠を示したい

  • 法人設立にあたり、今後の資金計画を立てたい

Point: 単なる「書類作成」で終わらず、“お金の将来”を見据えた相談設計にすることで、継続的支援につながります。


STEP 3:現状分析と課題の可視化

集めた情報をもとに、現状のキャッシュフロー、資産構成、法的・税的リスクを分析します。

分析内容の例:

  • 相続税・贈与税の発生可能性と金額試算

  • 財産分与の公平性(過去の収入差、不動産評価)

  • 公的年金+私的年金で老後資金が足りるか

  • 保険契約の保障内容と不足部分

  • 支出と生活費のバランス(介護費用・施設費など)

Point: シンプルなキャッシュフロー表やバランスシートを活用すると、視覚的な説得力が高まります。


STEP 4:対策立案と法的手続きの整理

課題が明確になったら、「お金」と「法律」を連携させた対策案を設計します。

対応例

  • 相続対策:遺言書+生前贈与+生命保険の活用

  • 老後設計:任意後見契約+財産管理契約+支出削減計画

  • 離婚:離婚協議書+年金分割+将来の教育資金試算

  • 法人設立:資本金設定+経費試算+融資計画書作成

Point: この時点で、必要に応じて税理士・司法書士・保険代理店等との連携も視野に入れます。


STEP 5:実行支援・書類作成・届出

具体的な書類作成・手続きに進みます。

行政書士が対応できる実務

  • 遺言書原案の作成支援、公正証書手続きの同行

  • 任意後見契約書の作成と公証役場での手続き

  • 離婚協議書の作成(養育費・財産分与・慰謝料)

  • 法人設立の定款作成と電子認証

  • 融資・補助金申請書類の作成・提出

Point: この段階で、行政手続きとFP対策が“地続き”になっていることが、他士業との違いになります。


STEP 6:フォローアップと再設計(継続的関係の構築)

ファイナンシャルプランは一度きりではなく、ライフイベントに応じて見直しが必要です。

継続サポートの例

  • 遺言書の更新相談(家族構成の変化)

  • 任意後見契約後の財産管理記録支援

  • 法人の経営計画更新に合わせた補助金申請支援

  • 相続発生後の実務対応(遺産分割協議書など)

Point:「一度きりの契約」から「人生設計のパートナー」になることが、収益性と顧客満足を両立させます。


✅ 実務を支える「計画表」と「ツール」の整備

行政書士がFP業務を行う上では、業務の可視化と再現性がカギになります。

おすすめのツール

  • ✅ 顧客ヒアリングシート(資産・家族構成・希望)

  • ✅ キャッシュフロー表(Excelで作成可能)

  • ✅ 相談工程表(6ステップを時系列で管理)

  • ✅ 他士業連携リスト(紹介先の一覧と専門領域)

  • ✅ 成果物リスト(遺言案、後見契約書案、協議書、定款等)

Point: 相談の質を高めるだけでなく、スタッフ教育や業務の標準化にも有効です。


✅ 計画力が、信頼と売上を生むFP型行政書士の鍵

行政書士がファイナンシャルプランニングを業務に取り入れることで、“書類屋”から“人生設計の伴走者”へと進化できます。
そしてその成功のカギは、「綿密な業務計画」と「再現性ある工程設計」にあります。


最後に:行政書士のFP業務 計画チェックリスト

ステップ 内容
情報収集 顧客のライフデータ、資産、目的のヒアリング
課題分析 現状の資産構成、税金、将来支出リスクの可視化
対策立案 法的手続きとお金の対策を統合したプランの作成
実行支援 書類作成、契約締結、届出手続き
継続支援 ライフイベントごとの再相談・アップデート

 

 

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