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第16回行政書士雑学講座

皆さんこんにちは!

久保田行政書士事務所、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~社会的役割~

行政書士とは、「官公署に提出する書類の作成や手続きを行う法律専門職」というのが一般的な定義です。しかし、その役割は単なる事務代行にとどまりません。行政書士は、社会におけるルールと市民・企業を橋渡しする“法のインターフェース”として、現代社会に欠かせない役割を果たしています。

本記事では、行政書士が持つ社会的役割について、暮らし・事業・地域・国際社会といった各側面から深く掘り下げていきます。


1. 市民の生活を支える法務の「第一相談窓口」

私たちの生活には、行政との関わりが随所にあります。出生・婚姻・相続・離婚・老後の備えなど、人生のあらゆる節目で必要になるのが“法的手続き”。行政書士はそうしたタイミングで最も身近に寄り添う専門家です。

  • 遺言・相続支援:遺言書作成や遺産分割協議書の作成を通じ、家庭内の争いを未然に防ぐ。

  • 成年後見・任意後見契約の作成:判断力が低下した高齢者の権利を守り、安心して暮らせる仕組みを支える。

  • 外国人との結婚・在留手続き:国際結婚やビザ関連手続きに関する法務サポート。

これらの支援は、市民が安心して暮らせる社会をつくるうえで、行政書士が果たす重要な社会的機能の一つです。


2. 中小企業・個人事業主の“法務パートナー”

行政書士は、創業者や小規模事業者にとって最も身近で相談しやすい法務支援者でもあります。弁護士や税理士に相談する前段階の「最初の相談役」として、以下のような実務を担っています。

  • 会社設立支援:定款作成や法人登記のサポートを通じて、創業を後押し。

  • 建設業・運送業・飲食業などの許認可取得支援:事業に必要な行政手続きを円滑に代行。

  • 補助金・助成金申請の支援:複雑な制度をわかりやすく整理し、事業者の資金調達を助ける。

こうした業務を通じて、行政書士は日本経済の基盤を担う中小企業を下支えし、地域経済の発展にも寄与しています。


3. 社会的弱者への法的アクセスの保障

行政書士は、司法過疎地域や支援を必要とする人々に対し、「法的サービスの入り口」としての役割も担っています。

  • 高齢者・障害者支援:成年後見制度、障害福祉サービスの利用手続き支援などにより、自立支援を促進。

  • 生活困窮者やDV被害者の相談対応:住民票の移動や契約書作成など、生活再建に向けた支援を提供。

  • 外国人支援:言語や制度に不慣れな在留外国人に対し、在留資格の取得・更新、就労支援などを実施。

このように行政書士は、“法的セーフティネット”の一部として、社会的包摂を進める役割を果たしています。


4. 公正・円滑な行政運営への貢献

行政書士は、官公署への提出書類を正確かつ迅速に作成し、行政のスムーズな運営を支える存在でもあります。

  • 書類の整備・提出の簡素化:正しい形式での申請により、行政の審査作業が円滑に。

  • 行政と市民の橋渡し役:制度の趣旨や申請要件を市民にわかりやすく伝え、誤解や不信感を減らす。

  • 法律の適用現場での実務対応:法改正や制度変更にも柔軟に対応し、行政手続きの現場で制度の浸透を支援。

このような“行政のアウトソーサー”としての側面は、行政の効率化や信頼性の向上に貢献しています。


5. 多文化共生社会の推進役

グローバル化・国際化が進む中で、行政書士の活躍は国境を越えた支援へも広がっています。

  • 外国人雇用・在留資格の整備:企業や団体が適正に外国人を雇用するための手続きを支援。

  • 国際結婚・帰化手続き支援:文化や制度の違いを理解し、スムーズな生活の立ち上げをサポート。

  • 災害・避難時の外国人対応:日本語を話せない住民への行政情報の翻訳・通訳的支援。

外国人が地域社会で安心して暮らせるよう支える行政書士は、多文化共生社会のキープレイヤーとも言えます。


行政書士は「社会の潤滑油」として、多様な課題に応える専門家

行政書士の社会的役割は、法的手続きの代行者という一面的なものではありません。彼らは、制度と生活のあいだに立つ“つなぎ手”として、市民生活の安定、企業活動の支援、行政効率の向上、社会的弱者の保護、地域社会の共生など、あらゆる場面で社会の課題と向き合っています。

目立つことは少なくとも、行政書士は地域の中で静かに、しかし確かに社会を動かす「縁の下の力持ち」として、今後もその役割を拡大していくことでしょう。

 

 

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